ブックサイトレビュー(2) 朝日新聞(アサヒコムBOOKS) 

Posted at 06/12/12 Comment(0)» Trackback(0)»

ブックサイト・レビュー、今回は朝日新聞のブックサイト、「アサヒ・コムBOOK」を取り上げます。

朝日新聞の書評欄の充実は以前から定評があります。もともと朝日新聞は「クオリティが高い」、つまり日本で唯一のクォリティペーパー(高級紙)である、という評価があります。諸外国では、たとえばフランスなら左派系の「ル・モンド」と保守系の「フィガロ」のように二つの思想傾向を代表する高級紙があるのが普通なのですが、日本には残念ながらより左派系の朝日新聞しかないため、ジャーナリズムにおける知性を代表するのは朝日新聞である、ということになってしまっています。

そういう事情なので、朝日新聞のみに頼った知的生活はどうしても偏ったものになってきてしまいます。それを是正するには、日本の新聞では日本経済新聞くらいしかないかもしれません。出来れば世界的なクオリティーパーパーの各紙に目を通してバランスを是正したいものです。語学力が要求されるので、なかなかハードルは高いのですが。

このあたり、バランスが取れないという問題があるのは事実なのですが、朝日新聞は知的な生活を支えるという点で、大きな役割を果たしてきたし、そしてそのための機能を多く持っているということもまた事実なのです。知的な問題意識の方向性を考える上でや、知的作業の方法論についてなど、一番参考になる記事があるのはやはり朝日新聞ですし、最も実務的でない、最も教養主義的な思想が色濃く出ているのも朝日新聞ですので、やはりある意味貴重なのです。

アサヒコムBOOKSでも、『編集部イチオシ!』のコーナーは興味深いです。前回は村上春樹へのメールインタビューがイチオシになっていましたが、今は『のだめカンタービレ』と音楽業界の関係についての記事が推薦されています。いずれもなかなか興味深いものです。

書評でも、ロラン・バルト『ラシーヌ論』などが取り上げられるのはやはり朝日だけでしょう。癖はありますが、上手く使えば面白い、そういうサイトだと思います。

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