« 20100207-2 | メイン | 20100208-1 「東京カフェ案内」 »

20100207-3

知らない間に生えてくる角。気がつくと頭頂部の少し後、つむじから4センチくらい右左に牛のような角が生えてくる。三国志の武将の兜ではあるまいし、そんなものが生えたら邪魔でしょうがない。第一かっこ悪いではないか。だから毎日、私は角を切っているのだが、これがまたなぜかいつの間にか生えて来るのだ。まさか角隠しをかぶるわけにもいくまい、花嫁でもあるまいし。私は帽子を被る習慣はないからいいけれども、野球の選手はさぞかし邪魔だろう。ラグビーの選手なら便利かもしれないが、サッカーの選手だとボールをパンクさせるおそれがある。これは反則にならないのだろうか。角の先をやすりで磨いてボールが刺さらないようにすれば大丈夫だろうか。まだFIFAの公式見解は出ていないようだが。

角は二本、毎日体調によって長さが違う。どういうわけか、体調が悪いと右側が長くなるのだ。どうやら私はそういう体質らしい。右脳が発達している人は右の角が長くなるという説があるが、私は怪しいと思っている。しかし私は一度だけみたことがあるのだが、右側が牛の角なのに左側は鹿のように枝分かれしている角を持っている人がいた。あれはどうも重そうで嫌だ。まあ牛の角であるだけましなのかもしれない。もっとも私も平日は丁寧に角を切るけれども、休日は家でごろごろしていることが多いので、必ずしもまめに角を切らない日もある。そうすると奥さんがイヤな顔をするのだが、いいではないか、休みの日くらい。しかしそんなことを言うと奥さんにも角が生えてくるので、適当に切っておく。

髪の毛が湿度計に使えることはよく知られているが、角だってなかなか便利だ。私は自分の角でもう24本角笛を作ったのだが、ほるんほるんと不思議な音がして好評だ。カスピアン王子も本当は自分の角を切ってホルンを作ったのかもしれない。角盃もなかなか洒落ている。銀で細工を施すと自分の頭から生えたものだとは思えないほどだ。そういう細工を施された角盃を見ると、誇らしくさえ思えてくる。奥さんもいつもは口やかましく角を切れというのだが、マントルピースの上に置かれた私の角盃を、惚れ惚れした目で見ているのを実は盗み見したことがあるのだ。何だ、自分だって本当はそうだったのか。うしし、と思う瞬間である。

私の上司は角など生えていないが、一度だけ休日にばったり本屋であったときには、立派な山羊の角が生えていた。隣にいた子どもたちには羊の角がはえていたので不思議に思って聞いて見ると、親を亡くした親戚の子を引き取って養子にしたのだという。上司は立派な人だと思っていたが、そんな見上げた男だとは思わなかった。なるほど、山羊の角が生えるだけのことはある。男らしい男である。

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://honwoyomou.sakura.ne.jp/mt/mt-tb.cgi/1997

コメントを投稿

(いままで、ここでコメントしたことがないときは、コメントを表示する前にこのブログのオーナーの承認が必要になることがあります。承認されるまではコメントは表示されません。そのときはしばらく待ってください。)

About

2010年02月07日 23:40に投稿されたエントリーのページです。

ひとつ前の投稿は「20100207-2」です。

次の投稿は「20100208-1 「東京カフェ案内」」です。

他にも多くのエントリーがあります。メインページアーカイブページも見てください。