「あなたはどうお考えなの、マルコ・マルコビッチ?」
「私の考えることはいつも同じですよ、アリーシャ・ニコライエブナ。」
「ということは、お父さまは猟銃を持って出かけたということなのね。」
「そうです。ニコライ・アレクサンドロビッチは猟銃を持ち、アルナとアレナの2匹のイングリッシュポインターを従えて家を出た。」
「狩場までは車で30分はかかるわ。」
「そう。だからバギー車をどこに停めたのか、それが謎です。」
「バギー車のわだちは、草原に入ったところで突然見えなくなっている。」
「もちろん、車がなぎ倒した跡は、途中までは残っていました。しかし、ある場所で突然その跡が消えている。まるでその場で天上に連れて行かれてしまったかのように。」
「未確認飛行物体に連れ去られた、というものもいるわ。あるいは突如神に召されたとか」
「そんなことがあるはずがありません。どこかにトリックがあるはずです。」
でも、車が草原の中で突然消えたのでなければ、車はそこから逆戻りしたとしか考えられない。」
「そうですね。そして逆戻りした跡は、わだちが残っている部分まで戻っても何も見つからない。」