「本探しのコツは?」/シャツの美しさ
Posted at 06/11/29 PermaLink» Comment(0)» Trackback(0)»
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昨日から村上春樹訳『グレート・ギャツビー』を読み進めている。この本は期待にたがわず面白い。
ギャツビーがテーブルの上につぎつぎにシャツを投げていくシーン。この場面はそれだけのことなのに、ものすごく感動的だ。ただ、この感動は、シャツの美しさ、というものについて感じたことのある人ではないとわからない、というものでもある。フィッツジェラルドの、そして村上のシャツに対する愛情が感じられる。
「ギャツビーは一山のシャツを手にとって、それを僕らの前に一つ一つ投げていった。薄いリネンのシャツ、分厚いシルクのシャツ、細やかなフランネルのシャツ、きれにたたまれていたそれらのシャツは、投げられるとほどけて、テーブルの上に色とりどりに乱れた。ぼくらがその光景に見とれていると、彼はさらにたくさんのシャツを放出し、その柔らかく豊かな堆積は、どんどん高さを増していった。縞のシャツ、渦巻き模様のシャツ、格子柄のシャツ、珊瑚色の、アップル・グリーンの、ラヴェンダーの、淡いオレンジのシャツ。どれにもインディアン・ブルーのモノグラムがついている。出し抜けに感極まったような声を発して、デイジーは身をかがめ、そのシャツの中に顔を埋めると、身も世もなく泣きじゃくった。/「なんて美しいシャツでしょう」と彼女は涙ながらに言った。その声は厚く重なった布地の中でくぐもっていた。「だって私――こんなにも素敵なシャツを、今まで一度も目にしたことがなかった。それでなんだか急に悲しくなってしまったのよ。」」
この場面が持つ意味は、読んでない方に申し訳ないので書かないが、この場面はこの本の中で今まで読んだ部分で一番好きな場面だ。シャツの美しさが乱舞している。こういう風景を、実際に見てみたいものだと思う。
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