本探し.netTOP >本を読む生活TOP >著者名索引 >カテゴリ別索引 >読書案内(ブログ)

藤原正彦『国家の品格』

国家の品格

新潮社

このアイテムの詳細を見る

西友の3階の本屋を物色、しばらく買うかどうか迷っていた藤原正彦『国家の品格』(新潮新書、2005)を買う。どうってこともないのだが、気分転換くらいにはなるかと。(2005.12.4.)

藤原正彦『国家の品格』(新潮新書)読了。何の気なしに読み始めたが思ったよりよい本だった。語り口が内田樹氏らに見られる暴言を織り交ぜた学者の饒舌という感じになっているのは必ずしも感じはよくないが、父から卑怯な振る舞いはするなといわれた話(藤原氏の父は新田次郎、母は藤原てい)などちょっと無量な思いを感じるところなどがあり、また資本主義=市場主義原理は要するにキリスト教の一派であるカルヴァン派の予定説が敷衍された原理主義的教説だと断言したり、「情緒」の重要性を説いている部分などはうなづくところが多かった。もちろんこうした論者によく見られるように短絡的だったり通俗的だったりするところは多いのだが、要点だけをかいつまんでみればまことにその通りと思うところが多かった。

直接関係ないが、私は自殺したいとかしようとか思ったことは一度もないのだが、なぜなんだろうということを道を歩きながら考えていて、それは子供のころに白虎隊のマンガを読んだときに、命というものは節に殉じて投げ出すものだ、という真理がなんだか体の中に入ってしまったからではないかという気がした。自分がいくら大変だからといってただ死んでしまうのはもったいないと思うし、自分が死ぬことで何か世界が変えられるならその方が役に立つじゃないか、というのが半ば当然のように奥深くに沈潜しているのだと思う。だからつまらないことで死にたいとは思わないし、まあ命を投げ出す機会がないまま年をとって死んでしまうかもしれないのだけど、昔の武士たちと違ってまあそれでもいけないとも思わない。だから私のは武士道というほどたいしたものではないが、藤原氏が述べておられる武士道の記述を読んでどこかでそんなことを考えたようだった。(12.6.)

トップへ