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野地秩嘉『企画書は1行』

企画書は1行

光文社

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『企画書は1行』は「ひとことでいうと何なのか」というところが人を動かす企画書のポイントだ、というようなことのようだが、どうも今ひとつよくまとまっていない気がする。読書中。(1.3.)

野地秩嘉『企画書は1行』読了。うーん、一つ一つの内容が面白いことは面白いんだが、ライターの主張のようなものがあまりはっきりしていない気がする。もともと『日経PC21』という雑誌の連載をまとめたものだということだが、インタビューした相手の言うことが記事の中心になるのは仕方がないにしても、もっと個性を浮き彫りにしたり、『1行』の持つその人自身にとっての意味とか重みというものが、もっと書けていればいいのにという感じがした。きっとこの人(インタビューされた人)はもっと面白いはずだ、という欲求不満が残る感じだ。

作中印象に残ったことをいくつか。『考えないヒント』の著者小山薫堂がいろいろな人から企画力の優れた人として言及されていたこと。なるほどこの人はこのジャンルのトップランナーなんだなと思う。

GMOの社長熊谷正寿のことば。「(「未来年表」に)夢や目標を書き連ねているうちにネガティブな気持ちが消えたんです。それまでは床が傾いた家に住んでいることを嘆いたり、うらみつらみの人生だった。ところが、いったん目標ができたら、そんな細かいことにかまっている時間はなくなった。……アメリカのある大学の調査によれば、人生の目標を明確に持っている学生は在校生の数パーセントに過ぎないという。おそらく日本でも同じでしょう。それくらい将来の夢を明確に持っている人は少ない。そして、私にとっては不思議なのですが、人生の目標を持たない人はそのことを不安とは思っていないのです。灯台もなく、GPSも持たないまま大海原を航海していることを不安とは感じていない。……大切なことはまず未来に向かっての目標を持つこと。目標が決まったら手帳に常に携帯する。それだけです。」これはすごくわかる気がする。

あとはJ-waveを立ち上げた横井宏の書いた『夢の潮流』という本、旭山動物園の行動展示の話、シー・ユー・チェンの『上島珈琲店』『ユニクロ』などのブランドの立ち上げの話、その著書『インプレサリオ 成功請負人』などが印象に残った。

週刊誌というのはある程度底が浅くても、ショールーム的にその人が紹介されていればまあOK、という部分があると思うのだが、新書とは言え書籍になれば、やはりもっと掘り下げた紹介が読みたいと思う。その当たりのところがこの本には足りない感じがし、素材が魅力的なのにそれが十分生かされていないなあという感じが残念な感じがしたのだった。ただ、この本から何かヒントを得ようという人には、いろいろなヒントが隠されているとは思うし、そのあたりが著者の狙いなのかもしれないのだが。(2007.1.4.)

  

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